リウマチ・手外科センター

201912月、新病院(千葉県柏市新柏)へ移転した当院では、関節リウマチ・手外科を専門とする医師の着任に加え、「専門性に基づく高度な医療を提供する」ことを目的として、これまでの診療体制を再編し、当院整形外科においてリウマチ・手外科センターを設立いたしました。

 

当センターでは、個々の患者さまに合わせた薬物療法・リハビリ・装具療法を含めた保存療法は勿論、専門的知識と経験を有するリウマチ・手外科に関する治療を提供します。

 

関節リウマチと手外科の専門的診療において、千葉県における東葛北部医療圏(柏、流山、松戸、野田、我孫子市)において中心的な役割を果たせるよう病院の理念に則り、質の高い高度な医療の実現に取り組むとともに、さらなる診療体制の充実に努めてまいります。

 

副院長 / 整形外科部長 國府 幸洋

当センターの特徴


当院では、リウマチ・手外科に関する専門外来を開設し、近隣の医療機関からの紹介患者さんの受入れや病診連携を通じた医療連携を推進しています。

守備範囲の広い治療内容

−最新の診断装置−


当センターでは、従来の単純X線検査だけではなく、新たに整形外来専用機として導入した超音波検査(エコー)装置やMRI3T)など、最新の医療機器を駆使して早期に診断し、必要な治療を開始できる体制を整えています。

 

関節リウマチや手外科の治療では、保存的治療が基本となりますが、必要に応じてリハビリや関節内注射、装具療法、手術にいたるまで、幅広い治療を提供いたします。

最新治療の導入

−薬物治療から手術治療まで−


 近年、関節リウマチの薬物治療は劇的に進歩しました。当センターでは、従来の抗リウマチ薬に加え、最新の生物学的製剤やJAK阻害薬による治療を行っています。内科と連携し、寛解を目指した薬物治療の見直しと新規薬剤の導入も行っています。

 

関節リウマチは手指や手関節、肘といった上肢関節から発症することが多く、経年的にリウマチ外科(関節形成術や人工関節治療など)的な治療を要することも少なくありません。関節鏡(内視鏡)による滑膜切除術や各種関節形成術、人工指・肘・肩・手関節置換術、腱移行術、遊離腱移植術などの専門的手術にも対応が可能です。

多彩な職種によるチーム医療

−個別化医療との両立−


進化を遂げる治療体系と多様化する価値観に対応するため、専門的知識を有する手外科専門医、日本リウマチ財団登録医・日本リウマチ財団登録看護師、薬剤師、リハビリスタッフ、薬剤師など多職種による連携のとれたチーム医療を実現します。

 

手外科の手術(リウマチを含む)は幅広い知識と経験が要求され、対側手の機能に応じて上肢機能を分担させたり、術式(関節形成、人工関節、関節固定)を変更したりする必要があります。当センターでは、患者さん個別の病状に応じて術式を柔軟に対応し、最適な治療方法を提案します。


リウマチ・手外科センター、名戸ヶ谷病院、千葉県柏市、 國府 幸洋

当センターでの治療に関するご紹介


リウマチ・手外科センター  −外来診療担当医表−


時間/曜日

診察室

番号

午前 1 國府 幸洋  ―  ― ―  國府 幸洋

  國府 幸洋

 9:00-12:00 2  ― ―  ―   ―
午後 1 國府 幸洋 ―  ―  ― 
14:00-17:00  2 ―  ―  ―  ― 

※ 一部、事前予約制  ※ 土曜、午前:第1、3週のみ

 

関節リウマチに関する代表的な手術


手指関節疾患

尺側偏位に対する変形矯正、関節形成術(母指CM関節形成術など)、滑膜切除術、関節固定術、人工指関節置換術

手関節疾患

関節形成術(Sauvé-Kapandji法、Darrach法 など)、滑膜切除術、

部分手関節固定術(橈骨月状骨間固定術)、全手関節固定術、

人工手関節置換術、腱移行術、遊離腱移植術

肘関節疾患

人工肘関節置換術、滑膜切除術、関節形成術

膝・股関節疾患

人工膝関節全置換術、人工股関節全置換術、滑膜切除術

足趾関節疾患

外反母趾手術、関節形成術、人工足趾関節

末梢神経疾患

手根管開放術、尺骨神経移行術、神経剥離術

 【尺側偏位に対する変形矯正(軟部組織再建、関節温存)】

症例)

尺側偏位の変形矯正は、機能的な問題だけでなく整容的(見た目)な改善を期待する見方もあります。

 

この症例では、手術前にみられる示指から小指までのMP関節における尺側偏位(赤線)を、関節包や側副靭帯といった軟部組織のリリース、靱帯再建、伸筋腱のリアライメント等(関節形成術)の包括的処置(通常の保険診療)によって矯正しました。こうした手術の効果には個人差があり、また感染症や変形再発などのリスクを有します。良い状態を維持するためには、関節リウマチのコントロールを良好に保つとともに、手指の可動域訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り)

 【人工指関節置換術、関節固定術(右小指PIP関節)】

症例)人工指関節置換術による治療を行うことで、仮に関節がムチランス様(ぶらぶら)の変形を生じていても、曲げ伸ばしの腱(けん)や筋肉が機能していれば、機能的回復と整容的改善が期待できます。

 

この症例では、手術前にみられる母指から小指のMP関節が変形と破壊された状態を、関節包や側副靭帯といった軟部組織のリリース、靱帯再建、伸筋腱のリアライメント、傷んだ関節面の切除と人工関節への置換など(人工指関節置換術)の包括的処置(通常の保険診療)によって治療しました。こうした手術の効果には個人差があり、また感染症や変形再発などのリスクを有します。良い状態を維持するためには、関節リウマチのコントロールを良好に保つとともに、手指の可動域訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り)

 【人工指関節置換術(中指PIP関節、表面置換型)】

症例)母指を除くPIP関節(第2関節)における人工指関節置換術では、側副靭帯が十分機能していれば表面置換型の人工関節も選択可能です。

 

この症例では、手術前にみられる中指の PIP関節が変形と破壊された状態を、関節包などの軟部組織のリリース、傷んだ関節面の切除と人工関節への置換(人工指関節置換術)といった包括的処置(通常の保険診療)によって治療しました。こうした手術の効果には個人差があり、また感染症や変形再発などのリスクを有します。手術後、より良い状態を維持するためには、日常生活において手指に強い負荷をかけないよう注意するとともに、手指の可動域訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り)

  【部分手関節固定術(橈骨月状骨間固定術) ※Sauvé-Kapandji法を併用)

症例)関節リウマチにより橈骨月状関節が破壊(⇧赤矢印)されていたため、部分手関節固定術(橈骨月状骨間固定術)を施行。ダラー法では尺骨遠位端(尺骨頭)を切除してしまうため、手首が細くなる欠点が有りました。この症例では、こうした整容面の悪化を防ぐため、尺骨遠位端を残すSauvé-Kapandji法を併用しています。

 

こうした手術の効果には個人差があり、また感染症や変形再発などのリスクを有します。良い状態を維持するためには、関節リウマチのコントロールを良好に保つとともに、患部の可動域訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り)

 【人工指関節置換術、Sauvé-Kapandji法(左手関節)、関節固定術(両母指、右小指)

症例)関節リウマチによる複合的な変形や関節破壊に対して、一側手で複数の手術を同時に行うことも可能です。

 

この症例では上記術式に加え、手術前にみられる母指から環指のMP関節が変形と破壊された状態を、関節包や側副靭帯といった軟部組織のリリース、靱帯再建、伸筋腱のリアライメント、傷んだ関節面の切除と人工関節への置換など(人工指関節置換術)の包括的処置(通常の保険診療)によって治療しました。こうした手術の効果には個人差があり、また感染症や変形再発などのリスクを有します。良い状態を維持するためには、関節リウマチのコントロールを良好に保つとともに、手指の可動域訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り) 

 【外反母趾、足趾変形に対する変形矯正+切除関節形成術(第2-5MTP関節)】

症例)“ヒト”は二足歩行を行うため、足(下肢)にかかる負担が大きいと言われています。痛みを引き起こす外反母趾や足趾の変形を矯正し、歩行しやすくなることで上肢(手や肘、肩)の負担が軽減されるメリットもあります。関節リウマチの方の手・肘・肩を手術する前に、下肢の関節治療を優先させることがあるのはこのためです。

 

この症例では、手術前にみられる外反母趾変形を関節包や側副靭帯といった軟部組織のリリース、靱帯再建、伸筋腱のリアライメントなど(関節形成術+中足骨矯正骨切り術、第2〜第5MTP関節に対する切除関節形成術)の包括的処置(通常の保険診療)によって治療しました。こうした手術の効果には個人差があり、また感染症や変形再発などのリスクを有します。良い状態を維持するためには、関節リウマチといった原疾患のコントロールを良好に保つとともに、患部とその周囲関節の可動域訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り)

 【両側同時人工膝関節全置換術、関節リウマチ】

症例)両方の膝がひどく変形したり関節破壊に至ったりした場合でも、両側同時に手術することで手術後のリハビリを円滑にすすめることが可能です。※ 患部の病状や全身の状態により片方ずつの手術をおすすめする場合があります。

 

この症例では、手術前に重度の変形性関節症のため、膝の屈曲伸展が痛みのため制限されており、歩行が困難な状態であったため人工関節全置換術による包括的処置(通常の保険診療)を左右同時に行うことで治療しました。こうした手術の効果には個人差があり、また感染症、深部静脈血栓症などのリスクを有します。より良い状態を維持するためには、関節リウマチといった原疾患のコントロールを良好に保つとともに、患部とその周囲関節の可動域訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り)

  【人工股関節全置換術(左)、再置換術(右)】

症例)手術前の右股関節では、前医で埋め込まれたインプラントが骨盤の壁を突き破っており(臼底突出症)、痛みのため歩行が困難となっていたため、人工股関節再置換術(通常の保険診療)が施行されました。左側も骨折後の治療用インプラントにより治療されていましたが、右側と同様、股関節が破壊されており、骨盤を突き破る前に人工股関節置換術(通常の保険診療)が施行されています。一度、骨折などのケガで傷んでしまった関節の治療に成功したとしても、特に関節リウマチの方では、長期間を経て再手術や再建術が必要になる場合があります。こうした事態を避けるためにも、関節リウマチに対する十分な薬物治療と定期的な通院治療が重要です

 

この症例では、重度の変形性股関節症と臼底突出症に伴う可動域制限と股関節痛のため、歩行が困難な状態でした。このため、人工関節再置換術と人工股関節置換術を行うことで疼痛は消失し、歩行が可能となりました。こうした手術の効果には個人差があり、また感染症、深部静脈血栓症などのリスクを有します。より良い状態を維持するためには、関節リウマチといった原疾患のコントロールを良好に保つとともに、患部とその周囲関節の可動域訓練、筋力増強訓練などのリハビリ、後療法に取り組む必要があります。自己負担額:約10万〜20万円(高額医療の対象における年齢、年収による変動有り)